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ミステリの祭典

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夜の触手

作家 大岡昇平
出版日1960年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2012/08/04 11:31登録)
『俘虜記』等戦争文学が有名な大岡昇平は松本清張と同じ年の生まれで、この最初の長編推理小説は1959年に雑誌連載ですから、『点と線』に遅れること約2年。長さは文庫本で200ページちょっとぐらいのものですが、32もの章に細分されています。第8章が、小説タイトルと同じ「夜の触手」。
実はずいぶん以前に1度読んだことがあったのですが、内容は完全に忘れてしまっていました。謎解き要素ということでは、特筆すべきところはありません。作者は清張について、反骨精神を買いながらも、「英米の傑作と比べては、至極お粗末なもの」とまで書いていますが、それにしてはトリックなどのアイディアは『点と線』等清張作品に比べてもお粗末なものです。もちろんそれ以外のところで見るべきところはあり、作者が描きたかったのであろう人間関係だけでなく、真犯人を追い詰める捜査過程も悪くはありませんでした。

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