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ミステリの祭典

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分岐点

作家 古処誠二
出版日2003年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2022/03/02 20:37登録)
僕は自分の意思で殺した。
そんな文が出てくる手紙の部分をプロローグに持ってきた、最初雑誌「小説推理」に連載された作品です。エピローグが同じ手紙の後半部分になっています。
しかし読んでいてほとんどミステリという感じのしない作品でした。この作家はこの手のものが多いようですが、太平洋戦争時代の人々の意識を扱った作品で、本作では1945年8月前半、つまり終戦直前、中学生たちを率いる部隊が描かれます。その中で中学生による殺人事件が起こるわけですが、殺人後死体を隠すシーンは描かれても、なぜ殺したのかを示す少年と被害者との対話部分は省かれています。つまりミステリとしては純粋なホワイダニットと言っていいでしょう。
しかしそれよりも、現在にも通じる、聖戦だと言いつくろう侵略戦争の実態と犯人の中学生の意識を生々しく描き出した作品です。

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