home

ミステリの祭典

login
エラリー・クイーン Perfect Guide
飯城勇三・編著

作家 事典・ガイド
出版日2004年12月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 mini
(2013/09/02 09:57登録)
明日3日に論創社から飯城勇三「エラリー・クイーンの騎士たち 横溝正史から新本格作家まで」が刊行予定、論創だから取次ぎがバラツくかもしれない

”飯城勇三”という名前を聞いて知らない読者はクイーンのファンとは言えないぞ
ファン・クラブの会長として評論集ガイド本などをいくつも出している有名な人物である
今回の論創社版のは、横溝、鮎川、松本清張から、笠井、綾辻、法月、北村、有栖川、麻耶雄嵩といった錚々たる名前が並ぶ作家たちがクイーンから受けた影響をテーマにした評論らしい

対して飯城勇三監修になるライト感覚のクイーン解説本がこの「パーフェクトガイド」である
当初ムックだったが、ぶんか社文庫で文庫化されていて装丁版型からして軽い、価格もリーズナブル、取り合えずクイーンに入門するガイド本ならこれがベストだろう
編集者としての仕事を含む全著作解説はもちろん、日本の各作家によるアンケート回答、各人の選ぶクイーン作品のベストなど、たしかに書名通りの完璧さだ
私のような特にクイーンに思い入れの無い読者にとっては便利な本である
中でも法月綸太郎の回答は面白かった、全て短編から選び、1位に選んだのが「ガラスの丸天井」とは、のりりんらしいねえ
逆にこいつは合わないと思ったのは依井貴裕、依井の作品は未読だが多分私には合わない作家だろうと推測した

ところでクイーンという作家は、”意外性”を狙う作家じゃないという意見が巷にあるみたいだが私は必ずしも賛成出来ない
ちょっとロジックに目を晦まされているような気がする
初期のクイーンは犯人設定に”属性”を多用しており、どうしたらその属性の人物が犯人足りえるか?、を追求している
ところが段々と”属性”がネタ切れになってくると、今度はプロットの捻りで意外性を演出する方向に変化している
ただいずれにしても、クイーンの本質はロジックよりもまずは意外な真犯人ありき、な作風に思えるのだよなぁ

余談だがこの本の中に『クイーン好み』というクイーン自身が書いたエッセイが載っているのだが、この中でヴァン・ダイン、チェスタトン等と並べて私も名前だけは知っているアンソニー・アボットやミルトン・プロッパーの名前が有るのに気が付いた
アボットって当時は知られた作家だったのかな
さらにコートランド・フィッツシモンズって?初めて聞いた、

No.1 4点 Tetchy
(2012/07/09 21:26登録)
エラリー・クイーン・ファンクラブが編んだエラリー・クイーン・ファンの、ファンによるガイドブック。つまりこれはクイーン礼賛の書であり、正しい意味でガイドブックではない。
クイーンの作品も他の作家の例に漏れず玉石混交で、必ずしもどれもが傑作、佳作ではない。もちろん凡作もあるわけだが、本書ではクイーンを愛するが故に、石も玉の如く誉める解説ばかりで正直クイーン作品を読んだ身としてみれば、鼻につくところがある。

しかし一方で私の読み方が浅かった、理解が足らなかったと気付かされる部分が案外あるのに気付かされた。未読のクイーン作品は残り少ないが、これらを今よりももっと深く読めるように気を付けていこう。

2レコード表示中です 書評