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ミステリの祭典

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作家 馳星周
出版日1999年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 Tetchy
(2012/06/20 21:17登録)
全4編で構成された短編集。全てセックスに関する人間の情動を描いた作品だ。そして全てバッドエンドなのがこの作者らしい。

ネットに蔓延するエロ画像、秘密の出会い系クラブ、伝言ダイヤルを使った主婦売春、SMクラブとここに挙げられているのは誰もが街中で目にする光景だ。
本作の主人公たちはその陥穽に嵌り、人生を転落していく人々。ちょっと踏み外しただけで運命の歯車に巻き取られ、堕ち行くしかない状況へ追いやられる。それまでの長編で見せた転落人生劇場がこの約80ページの短編でも繰り広げられる。

今までの馳作品の中でも最も薄い作品だが、中に書かれた人間の激情はいささかも薄まっていない。これを単なるポルノ小説と捉えるか、暗黒小説と捉えるか。私はやはり何を書いても馳氏は馳氏だとその思いを強くした。セックスとは男女を問わず獣になる瞬間であり、そこに本性が生々しく表せるからだ。やはりセックスもまた馳氏のノワールには欠かせない要素なのだ。
馳氏の、人間の心の闇への探究はまだまだ続きそうだ。

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