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ミステリの祭典

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凍りつく心臓
元保安官コーク・オコナー

作家 ウィリアム・ケント・クルーガー
出版日2001年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2012/05/28 09:59登録)
極寒の地、ミネソタ州アイアン・レンジの小さな町、オーロラを舞台に、過去の苦い事件を引きずる元保安官コーク・オコナーを中心として、人間くさいミステリー・ドラマが繰り広げられる。
コークはたんなる探偵役かと思っていたが大間違い。巻き込まれ型探偵というよりも、ミステリーの渦中の人という感じだ。

自宅で死を遂げた判事。その判事宅を最後に訪れたとされる少年の失踪。そしてコークがその真相を追う。話が進むうちに、人種問題も絡んできて、背景にはいろんな組織が見え隠れしてくるから、国内流にいえば社会派ミステリともいえるのだが、徐々に見えてくる真相は意外に俗っぽく、そのあたりがかえって馴染みやすくもあり好印象。
話は二転三転というよりも無理に引き延ばしているような感じで、真相はいったいどうなっているのかと期待が半分、いい加減に明かしてくれという気持ちが半分だった。ネイティブ・アメリカンの歴史や現状に詳しければもっと楽しめたように思う。

コークは肉体的にも精神的にもかなり痛めつけられる。でも打たれ強いところが良い。暗い過去があるのも良い。妻や愛人との関係に変転のドラマがあるところも面白い。やはり小説はこうでなくっちゃ。

総評すると、伏線が随所に散りばめられていて、細部で楽しめたが、ストーリーとしてはやや冗長な感もした。最終章には感銘を受けた。

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