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ミステリの祭典

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葉煙草(シガリロ)の罠

作家 山村美紗
出版日1979年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2012/04/18 22:18登録)
アメリカ産より安いフィリピン産の葉煙草の輸入についての政治的駆け引きをめぐり、フィリピンの大物貿易商が殺されるという、全体的な事件の骨格は松本清張をも思わせるような社会派的作品です。
殺人はさらに連続して起こり、これは山村美紗らしく、ついには自動車を使った目張り密室まで出てきます。トリックについては、このタイプの密室の嚆矢であるディクスンの『爬虫類館の殺人』は、当然念頭に置いていて、その方法が使えないことまで確認していますので、ネタバレには注意。しかしロースンによる別アイディアがあることを知らなかったのは間違いないでしょう。しかし、トリックそのものよりも不満だったのが、狩矢警部によるそのトリックや、真犯人指摘の段取り、読者に事件の全体像を説明していく手際でした。
社会派的なストーリーと、最後1ページぐらいの女流作家らしい視点には感心したのですが。

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