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ミステリの祭典

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顔をなくした男
チャーリー・マフィンシリーズ

作家 ブライアン・フリーマントル
出版日2012年02月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 Tetchy
(2012/04/17 23:39登録)
チャーリーとロシアのロシア情報機関の№2と目される人物の亡命の手助けを中心に対内情報機関であるMI5と対外情報機関であるMI6がお互いの優位性を巡って手練手管を尽くした画策が繰り広げられる。
お互いが協力の握手を右手でしている裏では左手にナイフを持って寝首をかこうと手ぐすね引いているやり取りが延々繰り広げられる。それはいつもながら高度なディベート合戦と智謀を尽くした暗闘なのだが、MI5部長オーブリー・スミスとMI6部長ジェラルド・モンズフォードがお互いの地位とプライドを守らんがために虚勢を張りあう姿と相俟って非常に稚拙に滑稽に映るから面白い。

本書は前作の『片腕をなくした男』を含めた三部作の第二作目に当たる。往々にして三部作の二作目は次作への繋ぎの性質を持っており、最終巻に読者の興味を持たせるため、問題は棚上げとされるのが常である。従って本書もそう。しかしそれでも本書はその出来栄えには不満を感じてしまう。

さて謎は謎として残されたまま、本書は幕を閉じる。シリーズ最終作となる次作でどのように明かされるのか。長きに亘ったシリーズの行く末がようやく決まる。それを心して待とう。

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