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ミステリの祭典

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作家 ドナルド・E・ウェストレイク
出版日2003年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2012/03/19 23:45登録)
2000年発表のノン・シリーズ。
作者は不運な泥棒“ドートマンダー”シリーズなどユーモア系ミステリーが有名だが、本作はシリアスな心理サスペンス風。

~「きみの小説を俺の名前で出版しよう」・・・ベストセラー作家の提案に中堅作家であるウェインの心は揺れた。収入は山分け、55万ドルが手に入るのだ。だが条件が一つあった。ウェインはその作家の妻を殺さなければならないのだ。殺しに狂わされ、徐々に荒廃していく人間の内面を描き、傑作「斧」に続いて名称が放つ戦慄の犯罪サスペンス!~

何とも言えない「粘着性」のある作品。
紹介文のとおり、書けなくなったベストセラー作家のゴーストライターを務めることになった中堅作家が、高収入を得る代わりに前者の妻を殺してしまうのだが、その後は殺した方の作家ではなく、依頼した方の作家が徐々に狂っていく様子が描かれていく。
2人の心理が交互に、そして執拗に描かれ、読み手の心に浸透していく感覚・・・作者のウマさは感じられた。

ただ、結局殺人事件は警察がマトモな捜査をせず、殺人者として追い詰められるといったようなサスペンスは一切なし。
ベストセラー作家も若干狂ってきたものの、それほどのインパクトはないまま、静かに終局を迎えてしまった。
というように、「サスペンス」とは銘打っているにしては大変地味なプロット&ストーリーなのだ。

正直、こういう作品を「好みか?」と聞かれると、「いやぁー」というしかないなぁ。
せめてもう少し「緩急を付けた」作品にしてほしかったというのが偽らざる感想。

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