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ミステリの祭典

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熱い十字架
私立探偵タナー

作家 スティーヴン・グリーンリーフ
出版日1995年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2012/03/04 09:51登録)
庭で十字架が燃やされる事件も起こる本作ですが、原題”Southern Cross”は普通に訳せば南十字星。内容に則せば、南北戦争の南部軍旗を意味することになります。舞台はサウスカロライナ州チャールストン。サンフランシスコを拠点としているタナーは、同窓会で久しぶりに会った弁護士をしている友人から依頼を受け、差別意識のまだ強く残っているこの町にやって来ることになります。人種差別の象徴ともいえる南部軍旗が、作品テーマを明確に示しています。
最初の同窓会にもかなりのページが割かれていますし、さらに事件自体も考えてみればずいぶん地味です。途中でタナーが銃を突き付けられ、殺すぞと脅かされるシーンはあるものの、結局殺人は最後まで起こりません。ただタナーの友人に対するいやがらせは、誰がなぜしているのか、ということだけで、ハヤカワ・ボケミス300ページ強の分量を支えているのですが、それでも飽きさせず読ませてくれます。

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