home

ミステリの祭典

login
真夏の妖雪
「落日の儀式」改題

作家 小林久三
出版日1979年08月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 kanamori
(2012/03/23 22:08登録)
幕末、明治、大正時代の史実に取材した歴史・時代ミステリの短編集。
赤痢騒ぎのさなか、明治天皇行幸下の陸軍大演習予定地の村での密室殺人を扱った「血の絆」がよかった。この時代と設定ならではの意外な動機に説得力がある。
表題作の「真夏の妖雪」も力作。殺された岡っ引きが懐中に雪を抱いていた理由はやや肩透かしの感があるが、老岡っ引きの執念の捜査と、凝らされた陰謀の構図は読み応え十分。
そのほか、関東大震災に絡む謀略を描いた「焼跡の兄妹」や、大正の大疑獄・シーメンス事件が題材の「海軍某重大事件」など、作者の立ち位置はいずれも”反権力”で、「暗黒告知」と同じ路線の”社会派歴史ミステリ”とでも呼称すべき作品集となっています。

1レコード表示中です 書評