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ミステリの祭典

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煙とサクランボ

作家 松尾由美
出版日2011年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2019/06/20 20:22登録)
ジャンルとしてはSF/ファンタジーにしてみましたし、実際主役の墨津は幽霊という設定ですから、ファンタジーには違いないのですが、プロットは完全にミステリです。ユーモアという言葉の蘊蓄を披露してくれたりする最初の部分では、これはミステリと呼べる話になるのかなと思わせられ、次にバーテンダー柳井と墨津とが出会った過去の窃盗事件が語られる部分では、連作短編的な構成なのかなと思わせられ、ところが全体としてはやはり過去に起こった放火事件の謎に対する解答を与える作品になっていました。
動機の根本については、最初に動機についての議論が行われたところですぐ見当はついてしまいましたが、伏線は丁寧に張ってありますし、語り口はすっきりと心地よいですし、最後まで楽しく読んでいけました。本作における幽霊の基本設定には、細かく考えれば無理がありそうですが、まあいいでしょう。

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