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ミステリの祭典

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黒魔術の女

作家 森村誠一
出版日1974年08月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点
(2011/11/11 21:36登録)
森村誠一と黒魔術オカルティズム。これほどミスマッチな取り合わせ実例もめったにないのではないかと思われるほどです。
実際、黒魔術に関する部分は必要なかったのではないかというのが、再読してみての正直な感想でした。アメリカでの黒ミサのシーンにはサスペンスもありましたが、本筋の殺人事件とは無関係なのです。その黒魔術も冒頭から明示されてしまっているので、不気味な雰囲気とかは感じられません。
最初に起こる女性の惨殺事件から、密室殺人、さらにもう一つの殺人と、一連の事件全体の構造は見当がつくにしても、悪くないと思いますし、最後に明かされる悲しい秘密には納得させられます。しかし、描き方には疑問があります。章によって視点が変わったりするのですが、なんだかバラバラな印象を受けるのです。密室殺人の計画も、作中で刑事たちが疑問視していたとおり不自然すぎます。密室トリックは、途中で示されるアイディアの方が真相よりおもしろかったかな。

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