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ミステリの祭典

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堕ちた山脈

作家 森村誠一
出版日2000年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2011/11/10 10:54登録)
「堕ちた山脈」・・・ベテラン・グループと初心者グループの山での対決。どちらも甲乙つけがたいほど陰湿で卑劣。上手いと思った。
「虚偽の雪渓」・・・被疑者は少ないが手掛かりが後出しなため容易には犯人を特定できない。短編だからこのぐらいは止む無しか。
「失われた岩壁」・・・ワルも命がけ。ここまでリスクをかけることもないのにと思うが…。必死な状況はよくわかる。ラストは想定内。
「憎悪渓谷」・・・短編CC物。本格ミステリで添付図といえば間取り図などの平面図が一般的だが、本作には人間関係図が載せてあった。これには驚いた(笑)。
「犯意の落丁」・・・よくあるミステリ・パターン。雰囲気は楽しめるので、短編だから許せるという感じかな。
以上、5編。

森村氏の山岳モノは初めて。解説によれば、森村氏の山岳短編は、山も俗界の延長にある、だから山好きだからといって高潔ではない、という考え方にもとづいているらしい。5編ともそんな感じがよく出ている。
「堕ちた山脈」「虚偽の雪淫」「失われた岸壁」、これら3編は山ならではの話で、シンプルながらも引き込まれ、楽しめた。一方、「憎悪渓谷」と、「犯意の落丁」とは山を舞台にするほどでもないと思うのだが…。そう思いながら読むと面白さも半減した。

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