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ミステリの祭典

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女が見ていた

作家 横溝正史
出版日1951年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 りゅう
(2011/10/29 15:53登録)
 再読です。金田一耕助も由利先生&三津木俊助も出てきません。
 作家の風間啓介は妻と夫婦喧嘩をして家を飛び出し、銀座で飲み歩いているうちに酔いつぶれて記憶を失い、家に帰ってみると妻が居なくなっていた。下宿人の新聞記者から連絡があって、妻は銀座のキャバレーで殺されていると言う。妻は、誰かが自分の名前を語って電話をしてキャバレーに呼び出されたらしい。啓介にとって不利な証拠が見つかり、警察に捕まる前に逃亡する。啓介に恩義のある田代が啓介をかくまって調査に乗り出し、犯行のあった時間帯に啓介を尾行していた謎の三人の女をアリバイ証明のために探すが、寸前で2人の女が殺されてしまう・・・・・・
 初読時には、アイリッシュの「幻の女」を読んでいなかったので気付きませんでしたが、今読むと明らかに「幻の女」のオマージュ作品であることがわかります。「幻の女」は真相の意外性で成功している作品ですが、本作品は3分の2ぐらいまで読むと犯行の構図が見えてきて、犯人の予測がつき、真相には意外性は感じられません。それなりにまとまりのある筋書きですが、告白で語られる最初の殺人動機や、三人の女が啓介を尾行していた理由などはちょっと苦しく感じます。サスペンス性でも本家には及びません。

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