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ミステリの祭典

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ダンシング・ベア
ミロ

作家 ジェイムズ・クラムリー
出版日1985年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2011/09/26 22:05登録)
期待して読み始めたクラムリーのハードボイルド・ミステリ第3作だったのですが。
クラムリー節は相変わらずで、自分も含め、好きな人はどっぷり嵌まる文章です。西部劇的な世界を意識していることは、依頼人の家での会話からも明らかで、ブルージーなギターでも合いそうなやるせない雰囲気はため息もの。冒頭に出てきてミロと殴り合いをする郵便配達人にしても、途中や最後にちょっとだけ顔を出して、事件とは無関係なのですが、小説としての楽しみを増すのに貢献しています。「踊る熊」ならぬ熊の毛皮の最終扱いなど、映画にしたら圧倒的な叙情派映像美を演出できそうです。
そのあたりはさすがなのですが、正直言って解説で誉めている女性陣は、今回それほどいいとは思えませんでした。事件への関係の仕方が理由の一部でもあるのでしょうが、プロットに沿って考察すると、多すぎる気がします。インディアンのタンテ・マリーも、存在感はいまひとつ。テーマとなっているエコロジーが、変に社会派的な主張になっているのも、この作家の雰囲気には合わないと思います。
評価の難しい作品ですが、とりあえず…

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