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ミステリの祭典

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巻きぞえ

作家 新津きよみ
出版日2011年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2011/09/17 00:07登録)
「デイリーサスペンスの女王」(って初めて聞いた)、新津女史の短編集。
すべて「死体」から始まる珠玉の心理サスペンスです。
①「第一発見者」=都会だけでなく、誰でも死体の第1発見者になんてなりたくないものです。登場する2人の女性って、結局つながりはないってこと?
②「巻きぞえ」=飛び降り自殺する女性に、偶然「当たり」死んでしまった男。こんな「巻きぞえ」なんて嫌だ! でも、これが偶然ではなかったっていうラストの反転がブラック。
③「反対運動」=最後には、我慢してきた女性の「怖さ」がヒシヒシと伝わる。
④「行旅死亡人」=旅先等で身元不明のまま死んでしまった人のことを指すらしい。血のつながりって何なのか、考えさせられる話。
⑤「二番目の妻」=テーマは夫婦間の腎臓移植。自分の臓器を配偶者に提供するなんて、究極の「愛」の印なのでしょうか?
⑥「ひき逃げ」=子供同様に可愛がっていた子犬を轢き逃げされた女性、そして轢いてしまった側の女性が2人。どうせなら、ラストもう少しブラック寄りでもよかったんじゃない?
⑦「解剖実習」=死体からの「語り」っていうのが斬新。そして、これまた何とも言えない偶然の血のつながりがあったなんて・・・皮肉だねぇー
以上7編。
ミステリーとしてはどうかと思いますが、どの作品も短編らしい切れ味のあるプロットや仕掛けで、なかなかの力作。
ちょっとした女性心理なんていうのは、やっぱり女流作家ならではでしょうね。
気になったのは、反対に、夫のキャラがちょっと紋切り型のような・・・
(どれも水準級の作品。敢えて言うなら②か④)

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