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ミステリの祭典

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「巴里の恋人」殺人事件 ワンナイトミステリー
警視庁超常犯罪捜査班「チームクワトロ」シリーズ

作家 吉村達也
出版日1995年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2011/08/29 10:57登録)
ワンナイトミステリーという十数年ほど前のシリーズです。文庫で130ページ、しかも字が大きめで行間も広いから、短編といってもいいぐらい。さすが吉村氏、いろいろとチャレンジしてくれます。十分に満足しましたが、やはり一編だけでは物足りないかな。

筋がシンプルでわかりやすいわりには、それなりのミステリ要素がうまく盛り込まれてある。登場人物が少なく犯人をたやすく絞り込めるが、捜査の過程や動機、背景などが面白く、けっこう楽しめた。ミステリの作りや犯人像からして、1時間ものの「相棒」を見るような感じだった。
殺人事件の容疑者扱いをされたのが、いつも自分の留守電に自ら伝言を入れ一人二役を演じる地味で寂しいOL。こんなもてない女性の心理がうまく描いてある。「人間嫌い」ではなく「自分嫌い」だったという教訓めいたメッセージも強烈だった。そんな女性の告白により事件の糸口が見えてくる。
その女性に対する聞き込み役が、警察の常識の枠を超えて捜査をする鷲尾警部と、容疑者を出すための捜査しかしない小林警部の二人。この二人の対比も面白い。
それにしても、容疑者扱いをされた女性はほんとうにかわいそうだった。「自分嫌い」を克服して立ち直ってほしいと思ってしまった。

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