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ミステリの祭典

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蜃気楼島の情熱
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1959年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 tocky
(2017/04/19 18:26登録)
「ねえ、(磯川)警部さん、推理の上で犯人を組み立てることはやさしいが、じっさいにそれを立証するということはむつかしいですね」
そう前置きして金田一耕助が語り始める推理はしかし、立証よりもむしろ実行そのものの至難を感じさせる。街中で堂々と刃物を振り回す通り魔と違い、一般的な計画殺人はその一部始終を秘密裏に行う必要がある。つまり絶対人に見られてはならないわけだが、果たしてそれは可能だったろうか。「これは非常に計画的な犯罪なんですよ」と金田一はさらり言うが、私には奇跡のなせる業としか思えない。

本作中最大の驚きは金田一が語る犯人の動機だ。「まさか!」と思ったが、結果は彼の推理に通りで2度驚かされた。まあその辺については、日本の法律は「横溝ワールド」の感知するところではないのだと割り切るしかないだろう。

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