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ミステリの祭典

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覗くひと

作家 アラン・ロブ=グリエ
出版日1966年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2011/04/04 23:11登録)
ロブ=グリエが脚本を書いた映画『去年マリエンバードで』ほどではないにしても、いかにもヌーヴォー・ロマンらしい前衛的作品です。
しかし難解文学であると同時に、ミステリ度もそこそこ高い作品になっていると思います。主人公は殺人を犯し、逃亡中の身です。そして冒頭で彼が渡った島では、崖からの墜落死事件が起こるのです。もちろん通常のミステリのようなまともなストーリー展開はありません。主人公がただ様々な人に時計を売ろうとする反復が執拗に描かれていくのですが、一方で墜落死事件の犯人は誰なのかという謎もつきまとってきます。その謎に対する解答が、某有名ミステリを連想させる真相なのです。
そしてラストはまた、ロブ=グリエらしく奇妙な不安定感を残したままの幕切れとなります。
すべてが明快に割り切れる小説に物足らなくなった場合には、読みにくさを覚悟の上でチャレンジしてみてもいいかもしれません。

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