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ミステリの祭典

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藪に棲む悪魔
メアリー・フィニー博士

作家 マシュー・ヘッド
出版日2005年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2018/07/16 14:38登録)
(ネタバレなしです) 1945年発表のメアリー・フィニー博士シリーズ第1作で舞台を(当時の)ベルギー領コンゴにしている本格派推理小説です。文章表現は非常に地味で、miniさんのご講評でも触れられているようにアフリカならではの雄大さを感じることができません。タイトルに使われている「悪魔」も演出不足です。また冒頭で農場で起きた殺人事件の謎解きであることが紹介されているものの、第1の死亡事件は病死としか思えず新たな事件はかなり後半になっての発生とミステリープロットとしては盛り上がりを欠いています。人物描写はしっかり描き分けられていますが、せっかくの個性もすっきり感のない重く暗い物語の中で埋没気味です。

No.1 5点 mini
(2011/04/07 10:09登録)
エルスペス・ハクスリーなどアフリカを舞台にした本格派作家が若干居るが、マシュー・ヘッドはその先駆者的な作家である
ハクスリーが実際にアフリカ在住経験が有り、経験に裏打ちされた情景描写に優れているのに対し、アメリカ作家のヘッドがどこまでアフリカに詳しかったのかはちょい疑問
「藪に棲む悪魔」は一応アフリカが舞台ではあるが、登場する舞台は殆どが白人経営プランテーションの内域だけであり、アフリカの大自然や野性味が殆ど感じられない
ネット上で評価が低いのは、やはりこのアフリカという舞台が活かされてないという理由が大きいようだ
もう一つ低評価なのはきっと、病原菌に関するトリックが陳腐な点だろう
まぁたしかに本格としてはハクスリー「サファリ殺人事件」の方が上だろうな
ただし登場人物の陰影では「藪に棲む悪魔」の方が上、一人一人の登場のさせ方が実に上手い
この点は「サファリ殺人事件」では、登場人物を一括して最初に紹介みたいな、いかにも本格派ミステリーに往々にしてある素人臭い登場のさせ方の見本だ
「サファリ殺人事件」に比べると世間一般の評価の低い「藪に棲む悪魔」だが、私は結構好きで擁護したくなる
面白いのは女流作家ハクスリーの探偵役が男性で、男性作家ヘッドのは女医探偵メアリー・フィニー博士なんだよな

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