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ミステリの祭典

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Les rescapés du Télémaque

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日2007年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2011/03/26 23:35登録)
河出書房の言うところの「本格小説」として1938年に書かれた作品ではありますが、むしろ地方(特に港町)を舞台にした初期メグレものを思わせます。主要舞台はメグレの『港の酒場で』と同じ北フランスのフェカン、謎解き度も並のメグレものより高いとさえ言えるほどです。違うのは、探偵役がメグレではなく素人だということ。素人だからこそ、特に最後の追跡劇など私立探偵小説的なサスペンスもあります。
フェカンの港にニシン漁から帰ってきた船長ピエール・カニュは、殺人罪で逮捕されてしまいます。殺された老人は、カニュ家も絡んだ過去のテレマック号遭難事件の生存者でした。ピエールを救うため、彼とは双子の鉄道員シャルルは、不器用ながら独自に捜査を始めます。
最後、シャルルがディエップでの犯人逮捕に決定的な役割を果たした後フェカンに帰って来て、釈放されたピエールを囲むみんなと合流するところは、不思議な高揚感があります。

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