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ミステリの祭典

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オレンジの陽の向こうに

作家 ほしおさなえ
出版日2011年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2021/04/19 13:55登録)
鳥沢真(とりさわしん)と森泉棗(もりいずみなつめ)の2人の視点から一人称形式で交互に書かれた作品です。2人が夢の中でしか会えなくなった理由は、真が死んだからで、現世と死後の世界をつなぐのはイワフネという地衣類(菌類と藻類が共生したもの)らしいということがわかるあたりは、棗のとぼけた性格の故もあってファンタジー系の雰囲気です。ところがその2人と関係のある様々な人物がからみあい、あまりにも現世とそっくりな死後の世界の秘密が明らかになっていく過程は、完全に謎解き的興味を中心に据えたハードSFの構造になっています。
死後の世界にもイワフネが現れる部分は安易な感じがしますが、以前に読んだタイムスリップ・テーマの『天の前庭』よりもSF的基本設定がしっかりしていて、しかもロマンティックなファンタジーとしても良く出ているという、なかなか楽しめる作品になっていました。

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