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ミステリの祭典

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世界鉄道推理傑作選1
小池滋編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1979年04月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 kanamori
(2013/06/30 20:10登録)
タイトルが”世界”となっていますが、第1巻の本書の収録作すべて英国の鉄道ミステリで、いずれもシリーズ探偵が登場する作品で編まれています。
編者の小池滋氏には全く責任がないのですが、収録作のうちホワイトチャーチのソープ・ヘイズルもの2編とクリスピンの「列車に御用心」は、今年に入って論創社から本編の短編集が出版され読んだばかり。フリーマンの有名作「オスカー・ブロズキー事件」も既読だったので、残りの2編のみの読書になりましたw

作者不詳の「モアハンプトンの怪事件」に登場する探偵セクストン・ブレイクは、古くから複数の作者によって書き継がれ(解説によると200名以上作者がいるらしい)英国ではお馴染みのキャラクター。冒険スリラーものかと思いきや意外とトリッキィな作品だったのでちょっと驚きました。
M.M.ボドキンは、親指物差し(おおざっぱ)探偵ポール・ベックものが”クイーンの定員”に選ばれていますが、収録作「ステッキのキズは?」に登場するのは女探偵ドーラ・マールで、自転車による追跡劇が楽しい作品。のちに二人は結婚し子供とともに史上初の?家族探偵を構成するらしい。

No.1 5点 mini
(2011/03/11 09:59登録)
明日12日に九州新幹線「新八代」~「鹿児島中央」駅間が開通し、これにより九州新幹線全線が開通する
先行開通した東北新幹線「新青森」駅まで本州~九州が全線繋がるわけだ
「はやぶさ」と「つばめ」、どちらも鳥の名前なんだな、ただし山陽~九州新幹線直通列車は「みずほ」なんだが
いつか鉄道に特化した企画をやりたいなぁと思っていたので、この機会に1冊だけやるか

国産ミステリーには”時刻表トリック”という分野が有って、不人気分野の象徴ともなっている
当サイトでも、各書評者のプロフィールの”好きではないジャンル欄”で時刻表トリックを挙げる書評者の方は多い
単に”アリバイ崩し”と書く人も居られるが、その根底には時刻表トリックの悪しきイメージがあるのだろう
しかし国内ものと違い、海外ものには時刻表トリックは極めて少ない
もちろんアリバイ検討の過程で列車時刻が問題になる場合もあるが、時刻表自体にトリックを仕掛ける海外ものは極めて稀である
やはり日本の鉄道の運行の正確さは世界に誇れるものだ

さて本題に入ろう、このアンソロジーは鉄道推理の評論分野で右に出るものが居ない小池滋の編集だけに、ややクラシック過ぎる作品選択とは言え安心して読めるものだ
作家の顔触れを見るとV・L・ホワイトチャーチだけが2作収録されているのが目立つが、ホワイトチャーチには元祖鉄道ミステリー短篇集があって”クイーンの定員”にも選ばれている
論創社さん早いところ頼みますよ、「四十面相クリーク」なんかよりこっちを先にして欲しかったんだから
あとは鉄道と言えばクロフツ、なんだけどもう1人クリスピンを忘れてはいけない
エドマンド・クリスピンにも鉄道ミステリー短篇集があるんだよな、これも論創社から刊行予定に含まれている
さらにもう1人、マクドネル・ポドキンだ、残念ながら収録作のは探偵がポール・ベックじゃないのだが
親指探偵ポール・ベックは、創元文庫がホームズのライヴァル達の第3期をやるなら最優先で入れて欲しかった探偵だ
こうしてアンソロジーに収録されるのもいいが、早く1冊に纏めて欲しいシリーズで、論創社さん、親指探偵ポール・ベックもついでにお願いできませんかね

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