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ミステリの祭典

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失踪
名無しの探偵

作家 ビル・プロンジーニ
出版日1978年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2011/03/01 21:12登録)
70年代に登場したいわゆるネオ・ハードボイルド系の中でも、プロンジーニは謎解き好きだそうですが、この長編第2作では、まだそれほどではありません。一方一人称の名無しのオプと言えばもちろんハメット由来ですが、別れた恋人のことや肺がんへの心配など、やたらにぼやきが多いこの探偵は、ハメットの非情さとは全然違います。まあラスト近くにはハードな殴り合いもしてくれますが。
失踪事件の手がかりを求めて、依頼人の要請によりドイツの小さな町にまで調査に出かけていくストーリーですが、全体的には実際の作品の長さにも見合ってこじんまりとまとまっています。プロット構成はロス・マクに近い感じを受けました。ただし家庭の悲劇が描かれているわけではありません。犯人が仕掛けるごく簡単なトリックは、うまくはまっていると思います。
しかし、犯人特定の決め手とか、その犯人の告白などの最後部分が何となく弱いのです。もう少し感動的に盛り上げられなかったのかなあ。

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