コーパスへの道 現代短篇の名手たち |
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作家 | デニス・ルヘイン |
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出版日 | 2009年07月 |
平均点 | 4.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 4点 | 臣 | |
(2011/02/19 14:15登録) 映画化されたミスティック・リバーやシャッター・アイランドで有名なデニス・ルヘインの短編集です。ハヤカワの「現代短篇の名手たち」の一番手です。 ミスティックもシャッターも未読ですが、初めての作家はたいてい短篇から入るほうなので、まず本書を手にとってみました。 アマゾンなどで書評を見ると絶賛なのですが、オチの冴えない犯罪小説なので、普通のミステリファンや国内のミステリ短篇を読みなれた読者からすると、あまり好まれないのではないかと思います。やはり娯楽短篇小説なら、O・ヘンリーか星新一ぐらいのオチがないと面白くありません。 7編中、知人たちの間で起きた悲しい犯罪の背景と顛末が語られる「犬を撃つ」だけは、強烈な余韻を残してくれました。他は「グウェンに会うまで」と「コロナド」がわずかにミステリ性がある程度で、全体的にミステリとしては期待外れです。気になる作品は上記3作だけ。エンタテイメントとはとても思われない短編集でした。文芸作品として読めば少しはましだったのかもしれません。 (余談ですが)先日、芥川賞を獲った西村憲太の「苦役列車」は、久しく人気が低迷していた、日本の伝統小説である私小説だそうですが、テレビの紹介によれば、特定の読者にしか読まれない今までの私小説とは違って、多くの読者が楽しむことのできる「エンタテイメント私小説」になっているそうです。 我が国の純文学ですらこのようなエンタテイメント傾向なのに、娯楽小説が中心の欧米文学で本書のような、エンタテイメント要素の欠落した小説が本当に喜ばれるのかなと疑問を感じます。 と思う反面、本書のアマゾンでの評価を見ると、自分の読み方がまずかったのか、海外文学が向いていないのかと心配になり、翻訳アレルギーが何十年かぶりに再発しそうな気分です。 とにかく近いうちに、著者の長編代表作を読んでみようと思います。 |