死の教訓 |
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作家 | ジェフリー・ディーヴァー |
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出版日 | 2002年03月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | Tetchy | |
(2011/02/17 19:54登録) 大学生がカルト殺人鬼ムーン・キラーに殺されるという事件を主軸に捜査主任のビルの家族の問題と大学の苦しい財政事情とドロドロした学生と教授との淫欲関係を絡めて物語が進行する。 その実、サイコキラー物と見せかけて、ディーヴァーはそのジャンルに異を唱えるような展開を見せる。これはその頃(本書が書かれたのは1993年)に流布していたサイコ物に対するアンチテーゼなのかもしれない。 しかしこれは失敗作だろう。 《以下ネタバレ》 それは犯人である大学教授ギルクリスト=セアラの家庭教師ベン・ブレックという仕掛けだ。しかしもしそうならば明らかに矛盾が生じるのだ。なぜならばビルの家に出入りしているベンは警護のために家に張り込んでいる同僚のジム・スローカムに顔を見られているからだ。ジムが犯人として追っているギルクリストの顔を知らないわけがない。 そう異を唱えようとしたが、やはりディーヴァーもそれに気付いていたのか、一度はビルにベン=ギルクリストと云わせ、それを覆す結末にしている。しかしそれがために非常に座りの悪い終わり方になっているのだ。セアラの係り付けの精神科医パーカーにも「そういえばビルの家族のことにやたらと詳しかった」などという仄めかしもさせているし、おそらくディーヴァーはこれを最後の仕掛けとして用意していたのではないか。しかし上の理由から捨てざるを得ず、結局どんでん返しを元に戻すような犯人にしてしまった、そんな風に私は推測する。その無念が最後の方のビルの「ブレックというのは何者だ。こっちがききたい」という独白に集約されているように感じた。 |