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ミステリの祭典

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アルタの鷹
私立探偵・田沢汎太

作家 河野典生
出版日1989年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2019/05/26 17:45登録)
今回初めて読んだ河野典生は後期の私立探偵田沢汎太シリーズ第3作で、妙な作品でした。
大陸書房のカバーには、ユーモアハードボイルドと謳っていますが、当然ハメットの代表作のパロディでも、荒唐無稽スパイ・スリラーと言った方がいい内容になっています。ただ普通のパロディは作中で元ネタについては触れず、読者に「わかるだろ?」と目配せする感覚があるわけですが、本作の場合『マルタの鷹』を登場人物が読んでいて、それによく似た展開になっていきます。そんなところは見立てっぽい感じもあり、実際見立ての理由まで最後にはちゃんと説明されます。いや、作者がパロディしているのはむしろ「笑っていいとも!」の方でしょうね。さらに「キョトンとした目の―ちょっとレレレのおじさんにも似た―やはり小柄な日本国首相」なんて表現が笑えます。
登場人物が入り乱れてごちゃごちゃして、結末が明確さに欠けるのが難点でしょうか。

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