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ミステリの祭典

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善の決算
春日検事の事件簿

作家 日影丈吉
出版日1960年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 kanamori
(2011/02/10 20:38登録)
シリーズ探偵役のひとり、春日検事の事件簿を中核とした中短編集(弥生書房版)。
短編だと幻想的なミステリが多い作者の作品ですが、この春日検事シリーズは、叙情性のある作風は変わらないものの、本格パズラー志向が強い傑作が揃っています。

表題作の中編「善の決算」は、密室状況のアトリエで洋画家が弓矢で殺害された事件。3人の容疑者に対する犯行可能性の論考が緻密なうえトリックも意表をつきます。
同じく中編の「枯野」は、新興宗教の教祖と女子高生信者の二重死の謎。ホワイダニットの展開から、予想外の真相に至る。
「眠り草は何を夢みる」は、連作ミステリとしては通常ありえないようなラストの処理に驚かされます。

春日検事シリーズは、本書収録作以外にも書かれていますが、一部は全集でしか読めない現状は不幸としか言いようがない。

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