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ミステリの祭典

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エヴィー

作家 ヴェラ・キャスパリ
出版日2006年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2016/06/18 15:52登録)
1960年発表の作品ですが、時代設定は1928年。エヴィーことエヴリン・アシュトンと同じフラットで共同生活を送るルイーズの一人称形式で、当時広告代理店で働いていたルイーズの追憶として描かれた作品です。巻末解説には、若い頃コピーライターや通信教育ディレクターを務めていた作者の実体験が色濃く反映されていると書かれていますが、確かに納得できます。
ルイーズの感情がともかくじっくり描きこまれていて、全体の半分ぐらいでやっと殺人が起こるまで、ほとんどミステリという感じがしません。エヴィーの恋人が誰かという謎はあるのですが、簡単に想像できるだけでなく、かなり早い段階であっさり明かしてしまいます。巻末解説では真犯人についてもいろいろ書かれていますが、要するに肩すかしで、プロットだけ見ればたいした話ではありません。しかし女性の生き方を描いた小説としては、なかなか読みごたえがありました。

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