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ミステリの祭典

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上海幻夜 七色の万華鏡篇
朱雀シリーズ

作家 藤木稟
出版日2001年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 羊太郎次郎吉
(2017/03/19 13:11登録)
朱雀十五の事件簿の主人公である朱雀の幼少期と両親の出会いが収録されている。
特筆すべきは朱雀の母・香蓮(上海の地下組織の娘)のキャラ造形の酷さ。
作中では誰にでも愛される魅力のある不思議な娘、という設定なのだが外見以外のどこに魅力的があるのか全くわからないんである。

買い物の代金を普通に従兄弟に払わせる我儘さ。
たった一度慈恵(朱雀十五の父親)が人助けをした場面を見たくらいで「日本人にも良い奴はいるんだな」と思う短絡的思考。
時代背景を考えれば無理もないのに「日本人にも良い人間はいる」という意見に耳を貸さない同胞に対して腹をたてる頭の悪さ。
同じ家で暮らしているのに自分に気のある従兄弟の気持ちに気がつかない鈍感さ。
自分と慈恵の間に子供ができたら酷く厄介なことになるということにびた一文も悩まない単細胞。
病弱な息子に対して「病気のパレード」というあんまりな言い回しを使う無神経さ。
朱雀が産まれる前から彼が反日感情のある同胞達からいじめを受けるかもしれないということが分かっていたはずなのに、そういった同胞から息子を守るという考えが全くない阿呆ぶり。
いくら朱雀の精神年齢が高いからといって5歳児に娼館へお茶や飲茶を届けさせる非常識ぶり。

朱雀十五シリーズの女性キャラは聡明な性格や活発で明るい性格と見せかけた非常識で無神経なキャラが多いな。頭がいいんだか悪いんだかよくわからないとでもいうか…。


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