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ミステリの祭典

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破滅の箱
トクソウ事件ファイル

作家 牧野修
出版日2010年08月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2011/01/28 23:58登録)
金敷署のはぐれ者達が集まる、生活保安課防犯係特殊相談対策室、通称「駄目な方のトクソウ」。
ここを訪れるのは、自称霊能力者や呪われた箱に恐怖する者、宇宙人を警戒する男など、厄介な一般人ばかりである。
不思議な雰囲気をかもし出す連作短編集だが、それぞれの事件が少しずつリンクしており、感覚的には長編を読んでいるような感触。
「トクソウ」のメンバー達がこれまた個性的で、いずれの人物にも感情移入可能。
誰に移入するかは個人の好みであろう。
ミステリとして、事件の不可思議性やトリックなどを楽しむというより、警察小説として、或いはキャラクター小説として、とても楽しめる一作。
全編を通じて、裏に巨大な悪意の存在を暗示しており、それにより本作を味のある作品に仕上げている。
ミステリを主に読まれる読者には、馴染みの薄い作家かもしれないが、本書は一読の価値ありと言わせてもらおう。

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