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ミステリの祭典

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名無しのヒル

作家 シェイマス・スミス
出版日2004年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2020/11/16 23:15登録)
「名無しの探偵」なんかじゃないんですから、明らかに矛盾した邦題です。「おれ」ことマイケル・ヒルが冒頭で、「名前は?」と訊かれて「自分のケツでも掘ってろ」と答えたことを元にしているんでしょうけれど。原題の意味は「モグラの檻」です。なお、作者のファースト・ネームは Seamus ですから、シェイマス賞のようなShの発音ではないはず。
前2作は未読ですが、かなり過激な犯罪小説だったようです。しかし本作は「獄中青春小説」と宣伝され、巻末解説には「広義のミステリとも言い難い」とも書かれています。じゃあなぜミステリ文庫で出版されたのだと言いたくもなりますが。実際のところ、アイルランド人である作者の自伝的な作品だそうで、当然作者も収容所生活を送ったことがあるのでしょう。まともな裁判もなく入れられた拘置所でも監獄でもない捕虜収容所でのひどい生活が、ユーモアも交えた語り口で描きあげられていて、読みごたえがあります。

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