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ミステリの祭典

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啄木鳥探偵處

作家 伊井圭
出版日1999年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2012/08/16 09:57登録)
石川啄木については、「蟹とたはむる」「三歩あゆまず」などわずかな短歌しか知らなかったのですが、名探偵の役を演じるというのは、一つの虚構的啄木像として感心しました。ワトソン役が金田一先生(国文学者京助先生のことです!)だというのも、おかし味があります。実際啄木と交友のあったこの学者が、勇敢で当然死体や流血にも慣れた軍医であったワトソン医師とはまるっきり違ってやたら臆病なところも、史実なのでしょうか。地の文はさておき、台詞の中にも時代考証の面から気になるところはありましたが。
ミステリのタイプで言えば、都筑道夫のなめくじ長屋シリーズに近いでしょうか。論理のアクロバットが、時代小説設定であるがゆえにより冴えて見える、という感じを受けたのです。なるほどそうか、と感心させられる推理の作品が並んでいます。各話の最後に啄木の歌をうまくあてはめて見せているのも気が利いています。

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