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ミステリの祭典

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青い外套を着た女

作家 横溝正史
出版日1978年11月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 おっさん
(2010/12/25 17:52登録)
春陽の、じゃない、角川文庫の昔懐かしの黒背から、整理番号:緑304-60 です。

雪の降りしきる、クリスマスの夜。横浜の、波止場近くにある酒場にやって来た、二人の男――緒方と親友・栗林。ともにある劇場の演出家同士だが、うち緒方は、失恋で傷ついた心を癒やすため、今晩、ヨーロッパへ向けて船出することになっていた。しかし栗林に誘われ、途中、立ち寄ったその酒場が、五年前の同じクリスマスの晩、たまたま彼が酔っぱらいに絡まれた花売り娘を助けた店であったことから、お話は意外な展開を見せていく・・・

正史が聖夜に贈る、ハートウォーミングな珠玉作「クリスマスの酒場」ほか、昭和十年代前半に雑誌掲載のまま埋もれた短編を中心に、中島河太郎氏がまとめた全九編を収録。
怪談あり、謎解き(名探偵・由利麟太郎登場の「木乃伊の花嫁」)あり、コントあり、ちょっといい話ありの、まさに横溝正史ヴァラエティ。
完成度はさておき、正史のさまざまなストーリー・テリングの見本帳を見る楽しさがあります。
おおらかな世界で、ひととき浮世を忘れたい向きは、是非どうぞ。かなわなかった恋が世代を超えて成就する、「仮面舞踏会」(例の長編とは関係ありません)の古風なロマンティシズムとか、たまりませんよ。
クリスマスなので、点数も一点オマケw

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