home

ミステリの祭典

login
本格ミステリー・ワールド2011

作家 雑誌、年間ベスト、定期刊行物
出版日2010年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 Tetchy
(2011/07/27 21:24登録)
嬉しいのは当初「二階堂黎人の気に入らない作品は本格ではない」とも取れる“二階堂黎人の俺ミス”というべき彼の暴挙、傍若無人ぶりが鳴りを潜めてきた点だ。ようやく本書で選出される「黄金の本格ミステリー」が一個人の偏愛によって左右されることがなくなった。これは非常に悦ばしいことだ。
しかしいつもながらこの「黄金の~」の選出作品には果たしてこれが後世に残るほどの物かと思うものが多い。本年は島田と麻耶の新たな代表作とも云える『写楽 閉じた国の幻』、『隻眼の少女』がその評判に相応しい作品とも云えるがあとは果たしてどうか。三津田の『水魑の如く沈むもの』は確かに本格ミステリ大賞にも選ばれた作品だから選ばれるに相応しい作品とは思うが、シリーズ物の中の1作ということで印象的には弱いと感じる。

さて冒頭に述べた某二階堂黎人氏の暴挙が大人しくなった理由の一つに今年から刊行される南雲堂が打ち立てた企画「本格ミステリー・ワールド・スペシャル」という叢書シリーズに力が入っていることが挙げられよう。そこに揃ったのはまさに二階堂氏お気に入りの作品を書く作家達ばかり。彼は世に蔓延る本格ミステリの数々を“俺ミス”基準で選出・排斥することを止め、子飼いの作家たちに“俺ミス”を書かせるようにしたようだ。

しかし毎年感じるが、未だに原書房の『本格ミステリ・ベスト10』との違いが見出せない。

1レコード表示中です 書評