home

ミステリの祭典

login
海の葬祭

作家 水上勉
出版日1962年01月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点
(2010/12/17 21:33登録)
水上勉は後年私小説的な作品もかなり書くようになりますが、そんなタイプの作家らしく、出身の福井県を舞台にした作品がいくつかあります。日本海沿いの村のリアリティは、作者が実際にそのような土地に育ったから出せるものなのでしょう。本作でも、冒頭三人の人物が歩いているシーンからして印象的です。
現在では、不適切と思われる表現もそのまま残しました、との注釈を入れないといけない事件です。福井県の寒村で起こったその事件は、平凡そうに見える事件から出発することの多いこの作者にしてはかなり不可解なもので、謎解きの興味が最初から感じられます。
しかし捜査小説としてはもたついた印象を受けますし、従犯者数に関して矛盾があるなど、構成は少々雑で安易です。最初の事件で自動車がどの道を通って消えたのかが問題にされていないのも疑問です。二重誘拐が別の殺人事件に結びついてくるところは悪くないと思ったのですが。

1レコード表示中です 書評