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ミステリの祭典

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スペードのキング
レオ・カリング 『世界大衆文学全集19 スペードのキング 四枚のクラブ一』改造社・昭和4年6月3日発行)

作家 S・A・ドゥーセ
出版日不明
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 おっさん
(2010/12/17 20:39登録)
病膏肓の、S・A・ドゥーセ探訪。今回は1915年の作で、『夜の冒険』と『スミルノ博士の日記』のあいだに位置する、第三長篇です。
『夜の冒険』を評したさい、軍事機密をめぐるスパイものの要素があることを指摘しましたが、本作はそのセンを伸ばした、名探偵レオ・カリングV.S.スパイ組織「土龍(もぐら)」の、純然たるスリラー篇。
密室からの機密書類紛失やら、運び去られた死体の謎やら、探偵小説っぽい要素は残存していますが・・・ストーリー自体は一言で言って、古色蒼然、かな。主役のはずのカリングも、病み上がりという設定のせいか、どうもパッとしない。
じつは最後まで読むと、事件を終息させる陰の主役が、別に存在していたことが分かります。カリングのはからいで、その人物が愛する娘とハッピー・エンドをむかえる終盤の過程には、落語的な味わいがあり、そこだけですね、面白かったのは。

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