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ミステリの祭典

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地獄の花嫁 人形佐七捕物帳

作家 横溝正史
出版日1984年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 おっさん
(2010/12/16 20:44登録)
春陽文庫の<全集3>です。収録作は――1.恩愛の凧 2.ふたり市子 3.神隠しにあった女 4.春色眉かくし 5.幽霊の見せ物 6.地獄の花嫁 7.怪談閨の鴛鴦 8.八つ目鰻 9.七人比丘尼 10.女易者 11.狸の長兵衛 12・敵討ち人形噺
海で釣られた魚の腹の中から、紙入れにしまわれた不審な(殺人を暗示する)手紙が見つかった!? という表題作6が典型的なのですが、今回は、導入部の無類の面白さにくらべて、ミステリ的にはやや尻つぼみ、という話が目につきます。
そんななか、怪談めいた出来事が繰り返される趣向と、婚礼を終えた新郎新婦が離れ座敷で死骸になり加害者が消失する、『本陣殺人事件』の試作的シチュエーションが印象的なのが7。
しかしこの巻の白眉は、人情噺の系列で、入り組んだ人間模様の決着に作者のストーリー・テリングの才が発揮された、3でしょうね。
刀屋の手代が、ある夜、真っ暗な舟の中で“買った”女は、悪人にかどわかされた、主人の姪だったのか?
舟の中に忘れられた刀、という小道具が最後に意味を持ってくる、そのへんの巧さは、さすが正史。ときにサービス過剰になる“濡れ場”も、きちんとストーリーに即しています。これを表題作にして欲しかったなあ。

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