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ミステリの祭典

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夜の冒険
レオ・カリング

作家 S・A・ドゥーセ
出版日1954年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 おっさん
(2010/12/12 20:17登録)
埋もれた作家発掘シリーズw 、S・A・ドゥーセ第二弾。実際に、1914年に刊行された作者の第二長編です。
『スミルノ博士の日記』には、戦前(抄訳)の小酒井不木訳と、戦後の宇野利泰訳がありますが、こちらは(複数のテクストが存在するにせよ)小酒井訳のみです。
『スミルノ』は、ひとまずプロットの工夫で記憶に残りますが、あれだけを読んでも、名探偵レオ・カリングの人となりや、ドゥーセという作家の芸風は、つかみにくい。
その意味で、軍事機密をめぐって売国奴が蠢き、複数の人物の思惑が交錯するストーリーを、愛国主義の権化カリングがさばく本編を読むと、ああ、ドゥーセってこんな作家だったのね、と実感できます。
時代がかったスパイものの要素はあっても、いちおう、本格ものとして(英米の“黄金時代”以前のレヴェルではありますが・・・)収束するのはマル。しかし、なんだか人物整理の悪いアガサ・クリスティー、みたいな感じ。
個人的に興味深いのは、椅子に縛り付けられ放置された男が、(別人に)殴り殺され、おまけに刺されて発見される、謎の提示。横溝正史の『犬神家の一族』の“あの”シチュエーションの発想源はこれか、と思いました。
ひとまず横溝ファンなら、話のタネに一読の価値あり、です。

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