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ミステリの祭典

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記憶の放物線
北上次郎

作家 評論・エッセイ
出版日2003年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2010/11/19 23:13登録)
『感情の法則』と同じ流れを汲む、読んだ本に纏わって思い出される彼の人生の日記、感傷日記である。

しかし、なぜか『感情の法則』の時に感じたあの同一性が感じられない。
免疫が出来た?そうとも感じたが、そうだろうか。ちょっと違うような気がする。恐らく、今回はこれは北上氏の物語であって、自分の物語ではないと感じたからではないか?
これらは私に訪れる、もしくは訪れないかもしれないまだ来ぬ時間を彼は既に過ごしていた、そういう隔世感を感じたのかもしれない。

時間は緩やかなれど、しかし確実に流れている。やがて時代も変わる。ここに綴られた北上氏の物語は彼の時代から息子らへの時代へ移りゆくことを肌身で感じた男の話なのだろう。だから自分の若い頃の話に思いを馳せる。

しかし私はまだそこまで老け込んではいない。ここに今回の乖離があるのか。違うかもしれないが、そういうことにしておこう。

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