home

ミステリの祭典

login
霧の罠
近松検事シリーズ

作家 高木彬光
出版日1968年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2010/11/17 21:19登録)
近松茂道検事が活躍する長編第3作は、第1容疑者の設定が最大のポイントになっています。非常に疑わしい人物なのですが、本当に犯人なのかどうか。犯人であるにしてもないにしても、登場人物も非常に少ないですし、裏にどのような状況が隠されているのか、ミステリとしてどこにサプライズを持ってくるのかが問題になります。最後に明かされてみると、さすがに納得のできる筋書きになっています。
全体の流れを後から振り返ってみると、主役は検事であるにもかかわらず、むしろ弁護士的なところもあり、両方の役を兼任しているようなストーリーとも言えそうだと思いました。グズ茂の異名をとる慎重さが、このような役柄を可能にしているのでしょう。いや、本職の弁護士も登場するんですけどね、この弁護士も近松検事の非常にオープンな流儀には面食らっています。
山口警部の視点から書かれた部分がかなりありますが、近松検事に対する彼のぼやきがなかなかユーモラスです。

1レコード表示中です 書評