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ミステリの祭典

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悪の教典

作家 貴志祐介
出版日2010年07月
平均点6.67点
書評数21人

No.1 7点 kanamori
(2010/12/22 18:01登録)
前半、とくに物語の導入部は、読んでいてサイコサスペンスの傑作の予感がしました。
教頭や同僚教師からは信頼され、生徒の人気者である高校の英語教師・蓮実の造形が巧みです。第1章最後の鴉のエピソードを始め、章が進む毎に徐々に、サイコパスとしての蓮実の裏の顔が読者の面前に露わになっていく過程に引き込まれました。
しかし、下巻に入り「引き返し不能点」以降の、殺戮のサバイバル・ゲーム風の展開は少々工夫に欠け、「バトル・ロワイヤル」などの先行作品を想起させる点は大いにマイナス。
上下巻で850ページという長尺を感じさせないリーダビリティの高さは抜群で、なかなかの娯楽作品ではありました。

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