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ミステリの祭典

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引き裂かれた役員室
銀行副頭取パトナム・サッチャー

作家 エマ・レイサン
出版日1990年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 nukkam
(2010/10/20 12:49登録)
(ネタバレなしです) 1988年発表のジョン・サッチャーシリーズ第20作となる本書はとても完成度の高い作品です(なお講談社文庫版では作者名はレイスン、サッチャーの肩書きは副頭取でなく副社長になっています)。航空会社を舞台にした企業ミステリーですが主役はあくまでも登場人物で、無味乾燥な物語にはなってません。「数字の扱いはうまいが人間の扱い方を知らない」、「どんな革命家もいつかは保守派になる」、「極論を吐くのは常にやさしいのだ」など含蓄のあるせりふが随所で飛び出しています。サッチャーの描写が控え目ですが、見るところはちゃんと見ていて名探偵の役割をしっかり果たしています。本格派推理小説としての謎解き伏線もしっかり用意してあり、まさに「ウォール街のクリスティー」と称されるにふさわしい作品です。

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