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ミステリの祭典

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雪が降る

作家 藤原伊織
出版日1998年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2010/10/10 23:57登録)
ミステリー色は薄めながら、作者らしい人物造形や深い余韻を残すラストが印象的な短編集。
①「台風」=ビリヤード勝負を背景に、謎の男が引き起こした殺人事件の想い出を振り返るストーリー。
②「雪が降る」=表題作に相応しい佳作。主人公とその同僚の関係は、氏の名作「てのひらの闇」の登場人物を思い起こさせます。
③「銀の塩」=ちょっと中途半端な気がするラスト。
④「トマト」=ショートショート。印象的だが意味はよく分からず。
⑤「紅の樹」=短編ながら作者らしさを感じるハードボイルド。これは「てのひらの闇」のベースとなった作品とのことです。(確かに主人公の名前や出自が共通)
⑥「ダリアの夏」=ハートウォーミングな一作。登場する子供がかわいい。
以上、全6編。
氏の作品に登場する主人公の造形って、だいたい共通してますね。『世間に対しては斜に構えながらも、心の奥底には熱い魂が・・・』 本作もまた同様。
ただ、個人的に短編よりも長編の方が持ち味が出る気がして、この評価です。

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