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ミステリの祭典

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泥棒は詩を口ずさむ
泥棒バーニィ

作家 ローレンス・ブロック
出版日1981年04月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2014/01/25 09:22登録)
泥棒探偵バーニー・ローデンバーシリーズ3作目。2作目は絶版ゆえにいまだに手に入っていない。そしていきなり本書ではバーニーは古書店主として真っ当な暮らしをしている風景から始まる。2作目の時に何が起こったのか?非常に気になるではないか。

さて古書店主となったバーニー・ローデンバーの日常には本が溢れており、自然物語は本についての薀蓄なりが付いてくるのだが、これがやはり読者、特にミステリ読者には思わずニヤニヤしてしまう話が散りばめられている。

古書店主になって泥棒稼業からは足を洗ったのかと思いきや、バーニーにとって泥棒はもはや習慣病のようになっているようで、今回は自分の店に現れたJ・ラドヤード・ウェルキンなる紳士からこの世に1冊しかないキプリングの自家製本を所有者の貿易商から盗み出してほしいと頼まれるところから始まる。そしてバーニーは見事盗み出し、ウェルキン氏に連絡を取って指定の場所へ赴くものの、そこで殺人に巻き込まれてしまうのが今回の事件。

しかしこの事件の真相はかなり複雑。正直自分でも十分理解できたか自信がない。とはいえ、突き詰めて読み返すとどうも不都合な点やなぜある人物がそうすることになったのかという動機が曖昧なところもあり、作者自身もちょっと無理があるのではと思ったのではないだろうか。

しかし本当にこの軽妙な読み物はマット・スカダーシリーズの作者の手による物だろうか?ローレンス・ブロックは2人いると云われても全然驚かないぐらい作風が全く違う。本当に器用な作家だ。

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