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ミステリの祭典

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帰ってこない女

作家 M・R・ラインハート
出版日2000年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2023/03/19 21:29登録)
1938年発表、かなり後期の作品です。夏を島の別荘で過ごす若い女マーシャ・ロイドの一人称形式で語られますが、彼女の直接体験だけでなく、後で聞いたことだがとして、検事(これがいやな奴)や警察官による容疑者の尋問等も描かれます。
巻末解説ではHIBK(もし私が知ってさえいたら)派の創始者としてのラインハートについて、「この手法は実は多かれ少なかれ話の巧い作家なら誰でもやっている」ことだとして擁護しています。実際本作は一人称形式だからということもあって、たとえば「あの時それが物語っていたことに気づいていたら、落とさずに済んだ命や…」(p.97)といった表現がかなり出てきます。しかしこれは読者に期待を持たせるための「文章表現」であり、プロットのタイプではありません。
本作は様々な登場人物の思惑が絡み合って複雑化した事件に、うまく決着をつけていて、おもしろくできています。

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