home

ミステリの祭典

login
八番目の小人

作家 ロス・トーマス
出版日1989年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2015/08/04 00:02登録)
第二次大戦後のドイツ。元OSS大尉ジャクソンは、小人のルーマニア人と組んで、一攫千金を目当てに、戦時中に行方不明になったユダヤ人富豪の息子クルトを捜しだそうとする。しかし、そのクルトは米英ソ三国の情報部が追う凄腕の暗殺者だった--------。

シリーズ・キャラクターが出てこない単発物のクライム・ノヴェル。
主人公は、戦後定職につかずドイツで放蕩の日々を送っていた元OSS(戦略事務局)大尉ジャクソンと、小人のルーマニア人で小悪党のプルスカーリュの二人。
ロス・トーマスの小説の魅力は、なんといっても登場人物のひとクセもふたクセもある個性的なキャラクター造形にあります。本書では、胡散臭い小悪党でありながら、何故か憎めない小人のプルスカーリュが特徴的ですが、それぞれの思惑で殺し屋クルトを追う各国の諜報部員ら、その他の脇役も十分魅力的に描かれています。
物語は終始、嘘と裏切りが飛び交うコンゲーム的な展開ながら、それでもロス・トーマスにしては基本プロットがストレートなので読みやすいほうだと思います。ラストでどんでん返しを仕掛けてきそうなところも、割りとあっさりした終わり方なのは好みの分かれるところかもしれませんが。

1レコード表示中です 書評