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ミステリの祭典

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死の流域

作家 水上勉
出版日1962年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2010/07/28 21:40登録)
気になる作家の一人として昨年から少しずつ再読している水上勉の中でも、内容を全くと言っていいほど覚えていなかったものですが、意外に楽しめました。
いや、楽しいと言うのは違うかもしれません。北九州の廃鉱寸前の炭鉱町を舞台に、60人近い死者(行方不明者)を出した炭鉱事故と殺人を結びつけたストーリーですが、やはり社会派の巨匠らしく炭鉱問題の煤けたような暗い印象が強烈です。殺人の方はカナリア殺人事件。もちろんヴァン・ダインとは何の関係もなく、身元不明の被害者がカナリアの入った鳥かごを持っていたという事件です。
事故と殺人の結びつきは、有名な『海の牙』の公害と殺人よりもうまく行っていると思います。ただ、手がかりを提供した小鳥屋の扱いは、意味もないミスディレクションになっているだけで不満でしたが。

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