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ミステリの祭典

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明治探偵冒険小説集(2)快楽亭ブラック集
ちくま文庫

作家 快楽亭ブラック
出版日2005年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2023/02/22 23:56登録)
明治~大正時代のイギリス人落語家、本名ヘンリー・ジェームズ・ブラックの講談を口述筆記した中編4編です。まず語り口で読ませる(『幻燈』の冒頭部分に「お聴取り否お読取りを願います」と書かれています)作品群と言えるでしょう。実際どこを強調するかといった小説構成バランスはあまりいいと思えません。どれも黒岩涙香と同じく、ヨーロッパを舞台に、登場人物名は日本名にしています。
最初の『流の暁』は悪の道に堕ちる真面目男を描いた犯罪スリラーですが、他の3作には謎解き的要素があります。『車中の毒針』は解説では原作不明としていますが、2020年に原作のボアゴベ『乗合馬車の犯罪』完訳が出版されました。『幻燈』は指紋(掌紋)を扱ったごく初期(1892)の作品。『かる業武太郎』はイギリスが舞台で冒頭「実際有りました出来事でございます。」と書かれていますが、実はこれもボアゴベ原作で、原題は "Le pouce crochu"(曲った親指)です。

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