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ミステリの祭典

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怪奇探偵小説名作選〈7〉蘭郁二郎集-魔像
ちくま文庫

作家 蘭郁二郎
出版日2003年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 songpu gu
(2013/05/16 17:54登録)
作者は海野十三と並ぶ科学空想物の先駆け的な人物。そして本作は偏執的な写真愛好家、水木舜一郎の歪んだ趣味を描いたスリラー調の作品。

水木の行動に怖さもありましたが、彼が求職中の主人公寺田へ親切にも自らの助手として住処を申し出、好きな撮影生活を二人で送りながら最終的に彼を騙し、被写体としての彼の身体を求めたという結末には、前振り等から至極当然な感もあります。それより彼の以前から撮りたかった願望が腐乱した男女の遺体だということのほうが衝撃で、それも少しづつ腐っていく姿を日々ゆっくりと撮影したいとか、そういった非人間性の方により恐怖を覚えます。彼のこういった作品への執着もまた凄まじく、モデルとして優れていれば何の躊躇いも無く行商人の女を殺めたり、旧友を陥れたり、短いながらもその種の彼の狂気には読むべき価値があるかと思います。

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